2017/02/24

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目次
2015年J2第22節 アウェイ ツエーゲン金沢戦

この試合の後半22分、敵のパス回しが短くなったところを町田也真人が奪い、前にいたネイツにスルーパス。
GKに倒されてPKか……と思われたものの、逆にネイツにイエローカードが提示されたシーンがありました。
結論から書きますと、この判定は誤審だったと思われます。
ですが審判をこき下ろしたり、ましてや金沢が審判に守られているなどと主張するつもりは毛頭なく、『なぜ誤審が起こったのか』を考えることによって、より良い観戦/サポーターライフを送っていきたいなーという趣旨の記事です。
審判資格も持たない素人サポーターですが、素人だからこそ感じる疑問、素人が考察するとこうなる、というモデルケースになればと思い、ツイッターでのご意見、コメント欄でのみなさんのご意見も伺いながら今後もこういった記事を書いていきたいと思っております。よろしくお願いします。
イエローカードが提示された理由
テレビ観戦していて
『さすがにこれでシミュレーションはないだろ……PKを取ってもらえなかったのは仕方がないとして、ネイツが後ろ足でGKを蹴りに行ってラフプレーを取られたか、異議でのイエローカードか?』
などと思っていたのですが、Jリーグのデータサイトで詳しいデータを見てみました。
ネイツのイエローカードは『C1』。反スポーツ的行為での警告でした。
Jリーグの分類では『C2』のラフプレーと区別されているのですが、国、大会によってはまとめてC1に分類される場合もあるようです。
この『反スポーツ的行為』とは何かということですが、検索すると一番上にLAWSの森さんの記事が出てきます。
競技規則では多岐にわたるのですが、ざっくりまとめると
- 相手選手を押さえつける(ホールディング)反則
- 選手がピッチにマーキングをする
- 審判の許可を得ず、勝手に交代する
- 許可された衣服以外のものを身につける
- ハンドの反則
- GKへのバックパス
- ゴール後の過度なセレブレーション(ユニフォームを脱ぐ等)
- 味方選手への暴言、暴力
- ピッチサイドのペットボトルを蹴る、叩きつける
- シミュレーション(審判を欺く行為)
……などなどです。本当にたくさんの行為が含まれるので全てを書くことができませんが、今回のネイツのプレーに当てはまるC1の反則はシミュレーションしかないと思われます。
ネイツにシミュレーションの意図はあったか?
こちらも結論ですが、なかったと思われます。(本人に聞いたわけでもないですし、あくまでも推察ですが)
いちいちyoutube動画を貼るのは重いので、gifでの動画を貼っておきます。(環境によりますがクリックで再生されます)
@inuunited 右足で角度を変え左足を出す直前に接触、頭の向きもボールに向いているように見えるので、最後までボールコントロールを意識していたのではないかなーと、贔屓無しで見てます。
— uɐdnɟɐp (@dafupan) 2015, 7月 8
PKをもらうための接触を意図していない根拠として、
- ネイツの頭はGKの方を向いていない
- 右足でボールをコントロールした後、左足を前に出す動作が見える
- GKと接触する直前に少しバランスを崩しているようにも見えるが、倒れにいこうという倒れ方ではない
……というような点があげられます。
ネイツがそこまで確認できていたかはわかりませんが、後ろで谷澤がフリーになっています。
引き続きボールをコントロールできていれば谷澤にパスして楽に一点……という場面でした。
なぜ主審はシミュレーションの判定を下したのか?
@inuunited ネイツのプレーはツエーゲンのバックパスのミスからでしたから、審判も遠いところから戻る判定になりましたから。この判定に関しては、そのことも考慮しなければと思います。 pic.twitter.com/5CpymzuyiB
— Parker (@P_RedZweigen) 2015, 7月 11
まず、今村義朗主審は也真人がボールを奪取した時点でセンターサークル内にいます。
ここからダッシュでプレーエリアに近づこうとしますが、問題のプレーの瞬間には也真人より後ろという遠い場所に位置することになってしまいました。
これは金沢の攻撃に備えたポジショニングということで納得できる部分ではないでしょうか。(このあたりは審判資格をもった方のご意見を伺いたいです)
しかし、ネイツがボールに触れる直前、主審は急激に走る角度を変えています。
これは『そのままの角度で走っていたらネイツとGKの接触の瞬間に金沢のDFが視線を遮ってしまう』と判断したから?と思います。
ならばもう少し前の段階から斜めに走ってくれていてもよかったのでは……とも。
とりあえずあれっす。ペチュニクのはファウルっす。あれでシミュレーションはない。ボールコントロールの為に右足をGK側に晒したので、今村さんからするとそれが「足を残してる」様に見えたかもしれないけど。それを差し引いても遠い方の左足まで刈ってるからそれはシミュではないよね、と
— ぶっさん〜痴呆症レフェリー〜 (@abcdefootball) 2015, 7月 9
今村さんからはボールをネイツが先に触ったのは見えなかったかな?やや(結構大目に見て「やや」w)置いていかれてるけど、それでも角度は取れてるし普通のポジショ二ングに見えたけど。見えなかったとしたらどこをどう修正しなきゃいけないのかを自分も考えねば
— ぶっさん〜痴呆症レフェリー〜 (@abcdefootball) 2015, 7月 9
ということで接触の瞬間に主審からどういう景色が見えていたかの推察ですが、
- 金沢のDFがブラインドになっていた
- ネイツがボールをコントロールしたのも見えなかった可能性
- ネイツが右足を残して、PKを得るためにわざと接触を起こした
……と見えていたということになります。
スカパーのゴール裏からの映像ではハッキリとボールをコントロールしているのが見えますし、わざと接触を起こしたとは思えないような映像ですが、主審は逆側から見ているわけです。
さらにいえば副審は主審から見て右側のサイドにいるので、GKの体がブラインドになり接触の様子がよく見えないものと思われます。
@satomiheita 審判が一番してはいけないのは想像で判定することなんですよね。今村主審は位置取りが悪く、見えていないはずなのに、ネイツのシミュレーションと決め込んで笛を吹いてカードを出したので、酷すぎます。
— きた@岡田サントス・ジオゴ風 (@kiiroinu12) 2015, 7月 8
何も見えていないのにシミュレーションの判定を下したとすれば問題なのですが、見えていた部分から判定を導き出したとすればそれなりに納得がいくのではないでしょうか……
どのくらい見えていたかというのは我々にはわかりませんので、なんとも言えませんが。
『見えない』というのは審判団の努力で改善できる要素ももちろん大きいですが、サッカーにおける審判システムの枠の中では人間の限界を感じる部分です。どれだけ走るのを速くしたり視力を上げる努力をしても見えないものは見えないのです。
この部分をどうにかするには一試合の審判の数を増やしたり、ビデオ判定を導入するしかないのですが……FIFAが認めておらずJリーグの一存では導入できないシステムなどもありますので、審判システムの問題は本当に難しいと感じます。
ネイツはどうするべきだったのか?
さて、この記事を書いている目的は『なぜ誤審が起こったのか』を考えることですが、それによって観戦やサポーター活動に良い影響を与えると思っています。
それは『ではどうするべきか』ということを考えることにつながってきます。
もちろん誤審は起こらないようにしてほしいですし、選手を責めるつもりは全くありません。かといって、審判がクソだからで終わらせては何の意味もありません。
僕が批判をして終わりというのが好きではない理由です。どんなことでも今後の向上に役立つなら利用すべきだと思います。
……とはいえ、このネイツのプレー自体はどうしようもないんですよね……
この接触の仕方で踏ん張れなんていうのはバキの登場人物でもなければ不可能でしょう。
この場面でネイツに非はないと言い切っていいと思います。
ですが、犬の意地さんが書かれているように
審判団の心象が悪いこともジャッジに影響している可能性だって否定できません。
なのです。
それが納得できるか?ということは人それぞれだと思いますが、どれだけファールをするチームなのかというデータは当然審判団の頭には入っているでしょうし、以前担当した試合があればそのときの印象は当然影響するでしょう。
ネイツのシュミレーションとられたであろうシーンはおそらく、前半からネイツがオーバーアクション(真相はわからん)で痛がってるシーンが何度かあって、目つけられてた要素があるかも。あと足にかかってるんだけど、ほんの気持ち倒れるのが早かった印象があったかな?
— 乳酸菌もぐ (@mogpunk) 2015, 7月 8
@inuunited 残念ながらネイツは審判に心象悪いんじゃないでしょうか?積極的に倒れて笛を貰おうとして貰えず抗議ってシーンが目に付きます。我々の表現だと目に付くんですが審判の表現だと目に余るんでしょう。谷澤の名人芸を真似ようとするより倒れないでプレーし続けて欲しいです。
— KF (@CHIBA_japan) 2015, 7月 8
重ねて書きますが、『納得できるか』は人それぞれです。審判は常にフェアであるべきという考え方には同意しますし、全く否定しません。
ただ、損するより得する方がいいじゃないですか。うまく立ち振る舞って判定が有利になるなら、そうした方がいいに決まってませんか?
審判への適応能力も含めてサッカー選手の実力という考え方があってもいいのではないか?と思います。(それを否定する意見も理解できます)
……ということで、ここまで異議3、遅延行為8という『無駄な警告』を初めとしたファール、警告の多さが招いている
『今年のジェフはダーティーなチームである』
という印象が不利なジャッジを招いている部分があると仮定すれば、その印象を改善していくことが有利なジャッジを増やす、ひいては勝利、昇格に近づいていくことにつながるのではないか……と思います。
誤審…まあそうかもしれないけど、あんまり関係ないよね。それ以外に決定機、ほとんどなかったし。
— えとみほ@ロマンティック2015 (@ote_jp) 2015, 7月 8
これも選手を責めるわけでは全くないのですが、誤審がなかったとしても他の場面で得点していれば勝ち点3は得られたわけです。
『次はもっと攻めてゴールたくさん取ろうぜ!』
怒りを溜め込むより、なるべくそういう風に考えて応援した方が楽しめるのではないかな……と個人的に思います。
金沢はジャッジにおいて優遇されているのか?
最後に、ホームでの金沢戦でも『誤審ではないか』という場面がありました。

ですが僕はこちらの判定は誤審ではないと思いますし、
『金沢は審判に金を渡してるからこの順位にいる』
とか
『話題づくりのためにJリーグが金沢に有利になるように働きかけている』
なんて陰謀論を吹聴している方にはちょっと……と思ってしまいます。
ただ、異議と遅延の警告は次節からでも意図的に減らせるはず。選手層の薄いチームにとって出停は死活問題だから、そういうのにはより敏感になってるのかもしれない。
— M君 (@mattari_soccer) 2015, 7月 10
金沢はJ3から昇格してきたばかりのクラブで選手層が薄い=警告での出場停止はチーム力が即座に低下する=警告を受けないような意識作り、戦術構築が行われている
というようなロジックが事実かどうかは金沢の試合や練習をチェックしているわけではないのでわかりませんが、陰謀論よりは納得できるのではないか……と思います。
上記のジェフの場合とは逆に、クリーンなチームであるという印象が有利なジャッジを引き出している部分もあるかもしれません。
陰謀論も100パーセントないなんて断言しませんけどね。僕Jリーグ内部の人間でもないですし、悪魔の証明ってやつで『陰謀論がない』ことを証明するのは不可能ですから。(個人的な考えとしてはまずありえないだろうと思ってます)
ですが、どういう思考経路が納得しやすいか、という点では上記のロジックの方が断然優位ではないかと思います。
5000文字を越える長い記事になりましたが、お読みいただきありがとうございます!
この記事の内容、僕の考え方を押し付けるような意図は全くありませんので、さらに楽しい観戦/サポーターライフを送るためのご意見はツイッターでもメールでもコメント欄でもなんでもいただければ嬉しいです。よろしくお願いします。
(元Jリーグの審判委員長の著書。おすすめです)