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『J’s GOALの熱き挑戦』から考えるJリーグファンコミュニティ

『J’s GOALの熱き挑戦』から考えるJリーグファンコミュニティこんちは。ジェフ千葉サポーターのINUUNITED(@inuunited)です。今年2月に閉鎖したJ’s GOALが復活!ということでTAC出版から出てる『スタジアムの感動を!J’s GOALの熱き挑戦』を勢い余ってAmazonで2冊買ってしまいました。(1冊は他のジェフサポさんに差し上げることにしました笑)

副題に” 月間3億PV(ページビュー)への軌跡をたどる“とある通り、J’s GOALの歴史がPV数の推移と合わせて書いてある本ですねー。サイトの目的や企画の趣旨、効果についてもバリバリ書いてあって僕みたいなサポブログ運営してる人にとっても参考になる本だなと思いましたです。2009年に出版されたので2010年以降のことについては書かれていませんが、基本のコンセプトなどはブレていないと思われるのであんまり問題ないかと。

で、3億PVもあるサイトがJリーグのファンコミュニティに及ぼした影響とかがこの本読んでてなんとなくわかった気になったのでつらつら書いてみます。

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目次

J’s GOALが置かれた環境

J’s GOALのWebサイトは「Jリーグを人々の日常生活の一部となるくらいに広めていきたい」という強い思いから2003年に今の形でオープンし、月間3000PVからスタート。そのPVが2009年には3億5千万まで伸びました。応援するクラブの試合についてや写真のページを1人のユーザーが大量に開くという性質を考慮してもとんでもない数字です。この規模のサイトって日本にいくつあるんだろう。万単位あるのかな。まあかなりすごい数字だと思ってください。

本にかなり口すっぱく書かれてるのは「金も人も時間も足りない」ということ。特に最初は予算ぜんぜんつかなかったんだろうなーと想像できます。PVという結果を出すことで段々改善されていったんじゃないですかね。

そこでJ’s GOALが考えたのは「Jリーグ各クラブの情報リリースをまとめて載せる」こと。これ、今では当たり前のことに思えますけど当時は画期的なことだったんじゃないかと思います。キュレーション(まとめ)サイトを2003年からやってたってことですもんね。そしてサポーター参加型企画の充実。インタラクティブ(双方向)性ってやつですね。さらに情報を素早くアップしていく速報性。試合がある日もない日も365日24時間Jリーグの情報に触れてもらえるようにという更新頻度、情報の充実。この4つがWebメディアの長所をガッツリ生かしてると思いました。

今では当たり前に言われるようになった「SNSやブログを1つのメディアとしてとらえる」っていうことも意識してやってたそうです。正確に調査したわけではないと書いてありますが、Jリーグのファンコミュニティは他スポーツのそれに比べてネット上での情報交換が盛んっぽいぞと。みんなの口コミパワーでJ’s GOALのコンテンツをガンガン広めてくれー!ってことですね。

確かにファンの絶対数から考えたとき、Jリーグに関することがネット上でバズる力って強いなって思います。口コミで情報を広めるとかそういうことも含めて「サポート」だぜ!って意識が強そうに感じます。受け取るだけじゃなくて発信もするんだっていう。今回の復活でJ’s GOALがツイッターのつぶやき数トレンド入りしたのもそういうことですよね。

まあそんなわけで、お金とか人的資源とかが足りないっていうのをアイデアでなんとかしようっていう状況だったんですね。

J’s GOALのコンテンツとその目的

この本には今までJ’s GOALが行ってきた企画についてもいろいろと書いてあります。

ワールドカップのJ1中断期間中、J1に比べて情報量、露出亮で大きく劣るJ2に関する企画を行うことでJリーグ全体の活性化につなげるという趣旨のもと、J2ドリームチーム投票やJ2 5000ゴール特集、ゲートフラッグ特集などが行われました。ゲートフラッグっていうのはこういうやつですね。

門みたいになってるからゲートフラッグ。ジェフだとJEFなっしーの方有名ですねー。動きもふなっしーっぽいという。

純粋に選手の絵とか背番号が描いてあってがんばれー!みたいなのも多いですが、こういう個性的なゲーフラも多いのです。各クラブのそんなゲーフラを集めてみようと。こういうサポーターが主役になっているコンテンツを作るというのはすごくいいですよね。

自分の応援してるクラブの面白いゲーフラが載ってたら拡散したくなるでしょ。それが全クラブまとまってて他サポも目にするから「負けるかー!もっといいゲーフラ作ってやる!」みたいになったり。口コミもしたくなるしゲーフラ作りたくもなる。それに今までゲーフラに注目してなかった人に新しい価値観を提供するっていう効果もありますね。こんなおもしれーもんがあったんだなっていう。ゲーフラ作成講座やゲーフラコンテストみたいなのも含めて「ユーザー参加型企画」だなーと思いますです。

 

そして、日本代表の人気をJリーグにつなげようということで代表の記事や選手、監督コメントを掲載していました。代表人気とリーグ人気の剝離は今でも大きな課題ですが、J’s GOAL的にも取り組んでたんですよね~。。五輪代表などのアンダー代表やなでしこジャパンについても取り扱うことで、JリーグファンにA代表以外の代表について認知してもらうことも成功していた模様です。

A代表のドイツW杯アジア最終予選アウェイのバーレーン戦で0泊2日の弾丸ツアーレポートを行ったのは大きな話題になったということで、これって「行ってみた」ですよね。「日本代表の試合を0泊2日で観に行ってみた」。話題になりそうなコンテンツ作りができてますよねー。

その他にも

  • 「スタジアムの音量測定」(フクアリの場所ごとの音量計りたいんだよなあ……)
  • 「お手製の優勝カップを作ってスタジアムで掲げよう」(ちょうどジェフがナビスコカップ優勝したときの企画)
  • 「一家でスタジアム観戦に密着」(ドキュメンタリー系はレアリティあるしウケ良いですよね)
  • 「ハッピーバースデーJリーグ」(20周年のときもありましたね)
  • 全国サポーターズトレジャーハンター(Jリーグ版なんでも鑑定団や!)
  • ACL、クラブワールドカップ特集

などについて書かれています。個人的にお気に入りだったのはウイニングイレブンってゲームでオリジナルキャラを操作して育てていくモードの「ジェイズ五郎」コーナー。五郎選手が少しずつ成長してのし上がっていくのは面白かったです。

しかしもうコナミはんはJリーグから撤退してしまいましたからなあ……ううう……パニーニにはJ2収録されてないし……コロプラさんはやくJリーグのゲーム出してええ……

Jリーグのファンコミュニティに及ぼした影響

さて、ようやくタイトル部分の本題っす。

J’s GOALってやっぱ月間3億PVあるだけあって、Jリーグファンにとってとても大きな存在だったのは間違いないですよね。ネットを一切使わないファンもいるでしょうけど、そうでない人はかなりの割合が見てたんじゃないかと思います。ネットやっててJ’s GOAL一回も見たことないってファンは結構レアなんじゃないかなと。

それだけ大きな存在だと、やり玉に挙げられることも多いじゃないですか。「身内ノリ」ってね。それは正しいけれど正しくないと思うのですよ。

 

この部分だけちょっと長いんですが本から引用させてください。

J’s GOALとしては、2003年から一貫して、アプローチするターゲットを3つに絞り、スタジアムへ来てくれる人を増やそうとしてきた。その3つとは

1 1シーズンの観戦回数を増やす(例:1シーズンに2回スタジアムに来ている人が、将来は1シーズン4回へ)

2 観戦時の同伴者数を増やす(例:今、2人で来ている人が、次は友達や家族を誘い、4名で来場するような流れをつくる)

3 昔、スタジアムに来ていた人に再び来てもらう(昔はよくJリーグの試合に来ていたが、生活環境の変化などで、最近はスタジアムに来なくなった人が、また戻ってきてくれるようにする)

(中略)J’s GOALでは、サッカーに興味のない人にスタジアムに来てもらうことを狙っているわけではない。(中略)全くの新規ユーザーの獲得を狙うのであれば、TVや新聞、雑誌などの伝播力、訴求範囲の広いメディアのほうが相性がよい。しかしJ’s GOALはWebサイトであり、ユーザーが能動的にアクションを起こさないと見てもらえないツールだ。そこで、既存サポーターのさらなる掘り起こしや、その周りの人への影響力を借りることができればと願って運営している。

はい。つまり、J’s GOALは設定してるターゲットからして身内ノリなんですよ。そもそも基本的に、サッカーやJリーグに興味のない人に向けたサイトではないんですから。そういう人に対してはテレビやら新聞、雑誌やらに任せて、自分たちはすでにファンになってくれてる人や以前ファンだった人たちに対してアプローチしていくよ~ってことですね。

このJ’s GOALの「ノリ」が今に至るまでJリーグのファンコミュニティに大きな影響を与えたことは間違いないと思います。(逆に、Jリーグのファンコミュニティのノリに合わせた運営になっていたというのもあるでしょうが)ネタの嗜好にとどまらず、(試合中以外は)他サポ同士でも交流することの楽しさなんかもJ’s GOALが広めた部分が大きいと思います。マスコットのキャラ付けとかも、ツイッターとかSNSがここまで普及する前はクラブ公式での発信力だけじゃ足りなかったので、J’s GOALがマスコットも育てた—なんて考え方もできますよね。

特にJ2でよく言われることですけど、試合前にどちらのサポーターも入り乱れて屋台に並んでたりマスコットに群がってたりする光景は、海外のサッカーファンから見たら”奇跡”ととらえられる可能性があるくらいのすばらしいことなんじゃないですかね?いや、そういうのが嫌いな人がいるのも知ってますけども笑 戦いなんだから馴れ合ってんじゃねーよみたいな。僕の考えとは合いませんが個人の価値観なんで別に否定はしません。でも正直そっちの考え方を持ってる人は少数派なんじゃないかなと。J’s GOALがなかったらもしかしたら人数比は逆転してたかもしれないですね。

 

現在J’s GOALのノリを踏襲しているサイトはドメサカブログさんが代表格でしょう。3億PVとはいかずとも相当なPV数と影響力をお持ちのはず。内容もまさにJ’s GOALの正統後継者。J’s GOALはJリーグ公式ファンサイトとしてJリーグ公式サイトではできない自由なコンテンツ作りが許されていたことが長所でしたが、ドメサカさんは公式ではない個人ブログとしてさらに自由なコンテンツ作りができるっていうことが違いですね。ドメサカブログ論はまた別で5000文字くらい書けそうなんでそちらにまわしますかねー笑

あとツイッターの来ないでJ2(どう考えても中の人ジェフサポ)とかもそうですよね。知らない人から見たら完全に意味不明だけど、知ってる人からしたらガンガンリツイートしたくなる。ネタの選別がその気持ちを煽るんですよね~。

もちろん当ブログもその流れを踏襲してましてガッツリ身内ノリです。北爪健吾が髪を切ったなんて情報、ジェフサポ以外にはあんまり意味ないじゃないですか。でもそこはサポーターブログだからこそできる細かい情報発信をしようと。ここの美容院ですよって情報とか入れたり。そしてこのエントリーみたいなJリーグ全体の話題で他サポさんが見に来てくれたとき、ちょっとだけジェフのことを好きになってくれたりするようなことを書こうって思ってます。

ツイッター上でハッシュタグが大喜利化するってのも身内ノリの一種でしょう。「Jリーグ新規顧客獲得のための相談コーナー」ハッシュタグまとめとかすごくわかりやすいと思うんですけど、最初ネタとしてハッシュタグを作る→タグの名前から本気でアドバイスする人がちょっとだけ発生→でもほとんどはネタとして盛り上がる→流れを見て「Jリーグはこういう身内ノリが客を減らしている」という人が発生……みたいな。これはあんまり面白くないツイートがTLに流れてきた怒りからくるのかも

まあどんなファンコミュニティでもファン同士でしかわからないネタっていうのは少なからずあるわけでして、うまく新規さんが入り込める余地を残すことも永遠の課題だとは思います。僕もサポ暦古いほうではないので、ちょっと調べればネタの意味がわかるようになってるとわかりやすくて嬉しいです。ただ身内ノリそのものは悪ではないかなーと。同じことをポジティブな意味であらわすと「Jリーグファンには一体感がある」となりますし。

ネット上で大きな影響力を持つサイトはもっと幅広い層に向けて発信していくべきでは?っていうのはわかるんですけど、前述のようにサッカーファンは受信だけじゃなくて発信したがる心理が大きい傾向がある。まず既存ファンに向けてアプローチすることで情報を拡散してもらいやすくなり、発信効果を最大化することにもなるでしょう。「既存ファンが観戦時の同伴者数を増やす」の同伴者は新規層の開拓ってことにもなりますしね。

そして旧J’s GOALライターでもあり復活後も町田の担当となる党首さんはこんなツイートを。

うんうん、主にアプローチするターゲットが既存ファンだとしても、コンテンツの何割かは新規ファンにアピールできるようなものですよね。新規層を興味の段階ごとに呼び込めるような仕組みにもっとなればいいんですけど、元サンフレッチェ広島の小谷野さんが「コア向け」とか「ライト向け」とか、正直どうでも良いわけです。ひたすらJリーグなりサンフレッチェなりの情報を、シャワーのように発信し続けることが大事ですっておっしゃってたりして。

Jリーグはまだ情報を選別すべき段階じゃないからとにかく情報を発信しまくらないとなーって僕も思いまっす。こんな個人ブログでも月間5万PVは到達できましたから、同じような人が7000人くらいいればJ’s GOALと同じくらいの影響力を与えられますよ!笑 いやほんと、ブログとかじゃなくてSNSとかでもJリーグの話題を書き込むだけで盛り上げに一役買えると思うんで、みんな押し付けになりすぎず無理のない範囲で盛り上げていきまっしょい。

そんな素晴らしいJ’s GOALはなぜ一度潰されたのか

おまけでここも触れておきましょうかね。The PAGEとかでいろいろ書いてありますが実際、スマホに対応してなかったりサイトの作りも抜本的に見直さなければいけない時期にあったとか、J公式と統合したほうが利便性が向上するっていうのもあるでしょう。陰謀論じゃないですけど、Jリーグの現状から考えて新規層へのアピールを強めないとやべーって意識から「身内ノリ」からシフトしたかったっていうのもあるかもしれない。

ただ一番はやっぱお金なのかなーと思ったり……

本にも予算ないからアイデア勝負ってのは繰り返し書かれてました。しかしこの本が書かれた2009年の時点から2012年にかけて、J2が18クラブだったのが22クラブに増えたんですね。J’s GOALはクラブごとに担当のライターを配置して記事を書くスタイルなので、取り扱うクラブ数が増えたらその分必要なお金は増えます。

ざっとで計算しますけど、ライター報酬や交通費、その他作業に1試合1クラブにつき3~5万円の費用がかかるとして計算しましょう。年間試合数はJ1が306試合、J2が462試合。ナビスコカップが67試合かな。ゼロックス杯やスルガ銀行杯、ちばぎんカップとかの取り扱いもありましたね。天皇杯もJリーグクラブ限定だったかもしれませんがありましたよね。天皇杯は50試合としておいて全部で888試合。これで計算すると年間5328万円~8880万円。

当然試合以外のさまざまな企画や記事の費用もかかるし、サイト自体の維持費もかかる。J’s GOALスタッフは少人数のはずですが彼らへの給料も払う。これまたテキトーですが試合にかかる費用を2~3倍したものが全体の費用として、1億656万円~2億6640万円。

幅がかなり大きくなっちゃってますけれども、J’s GOALの運営には多分年間で1億とか2億っていうお金がかかってたってことが推測されます。もっとかかってそうな気もしないでもないですが。(どこかでもっと正確な数字わかったら教えてください~検討外れな数字だったら申し訳ない)「たかが1億や2億でつぶしたんかー」って思われるかもしれませんが、Jリーグ全体の予算規模は120億円くらい。チャンピオンシップ&2ステージ制を導入した大きな理由が13億円の減収を防ぐことだったというのを考えると、たかが数億って無視できる数字じゃありません。

統合したサイトでどのくらい費用が抑えられる見込みだったかはわかりませんが、億単位で節約になる見込みだったとしたら、閉鎖の理由としてはまあ大きいよなあ……と思います。別にJリーグ擁護ではなく、貧乏で仕方なくどこかの支出を削らないといけないなら、その候補としてJ’s GOALは選択肢の1つではあったかなと。

ほんと、多分金があれば大体のことは解決するんで、マジでJリーグはもっと儲けてくださいお願いします。全部素人の推測なんでわかんないですけどね。そういう可能性もあるかなって感じです。結局復活するんでそのお金どこから持ってくるのかも気になってます!

つーことでJリーグに少しでも金が入るように僕らサポーターもがんばっていきまっしょい!(金の亡者感)

ちなみに『J’s GOALの熱き挑戦』は今現在Amazonで中古33円から買えるぞ!(送料は別途かかります)クソ安い上に面白いのでJリーグファンのみなさん読んでみてくださいな~

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