2017/02/24

2015年ヤマザキナビスコカップ決勝トーナメント アルビレックス新潟対ガンバ大阪の試合、ガンバの金正也選手が2度目の警告を受け退場となったシーンが非常に話題となりました。
正也ノータッチで退場…. pic.twitter.com/jhfGD5MuKn
— あおくろ (@caazuu11) 2015, 10月 7
横からの視点と新潟ゴール側(ちょっと遠い)、ガンバゴール側からの視点の映像が見つかりました。金選手が新潟のラファエルシルバ選手に抜かれる際、足の接触がないのにファウルを取られて2度目の警告により退場。
別に僕は新潟サポではないのですが、以前このようなエントリーを書いた縁もあるので今回もちょっと色々考察して書いてみます。

(この件に関して、金選手含めどなたをディスる意図もありません。特に現地観戦しているサポーターの方々はリプレイも見れませんし、興奮もしている状態で冷静にジャッジを語るべしなどとは全く思ってませんのでその旨ご承知をお願いしたく)
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足の接触はない=ファウルではないは間違い
審判クラスタのLAWSの森さんが書いてくれてますが、(リンク先見てね)
競技者が次の7項目の反則のいずれかを不用意に、無謀にまたは過剰な力で犯したと主審が判断した場合、直接フリーキックが相手チームに与えられる。
●相手競技者をける、またはけろうとする。
●相手競技者をつまずかせる、またはつまずかせようとする。
●相手競技者に飛びかかる。
●相手競技者をチャージする。
●相手競技者を打つ、または打とうとする。
●相手競技者を押す。
●相手競技者にタックルする。~~略~~
もし意図的につまずかせようとしていて、それを避けようとしてバランスを崩したなら、ファウルと判定されてもなんの問題もない訳です。競技規則的に言えば。
はい。接触がなくても主審はファウルを取ることが出来るんですね。警告の理由は、ラファエルシルバ選手がこのまま突破した場合大きなゴールチャンスになっていたので、チャンス潰しによる警告だと思われます。(公式記録による警告理由はC1=反スポーツ的行為)
『主審は見えていなかったにもかかわらず、ラファエルシルバ選手が倒れたのを見て接触があったと思い込み警告を出した』と判断した方は多かったかもしれませんが、そういうわけではなさそうです。(もちろんその可能性もあるんですけど)
このシチュエーションでラファエルシルバ選手が審判を欺く為にわざと転ぶっていうのも考えづらいですし、転び方もそうは見えません。ラファエルシルバ選手のシミュレーションではないですね。
このケースで『つまずかせようとする』って意図を取るか?はまた別の話として、ルール上のプロセスとしては問題ないわけです。個人的な考えとしては、これを『誤審』って言うとちょっと色々まずいんじゃないかなーって思うんですよね。
『誤審』という言葉の使い方について
ツイッターで書いたのを引用。
『誤審』という言葉を『競技規則で定められていないジャッジが行われること』として使うか『競技規則で定められている範囲内だが別の判断がなされるべきだった』というところまで広げて使うかで話が噛み合わなくなるケースはありそうですよね。アドバンテージ取るか取らないかが一番わかりやすいかな。
— INUUNITED(いぬゆな) (@inuunited) 2015, 10月 8
そういう意味では昨日のガンバの金選手が2枚目のイエローもらった場面は『誤審』ではない(競技規則的にはつまずかせようとしたら接触がなくてもファウルの可能性ある)けどあれで取るのはどうなの?という話と、そもそも接触がなければファウルではないと思ってる人が混在しててカオスだったわけで。
— INUUNITED(いぬゆな) (@inuunited) 2015, 10月 8
今回前者の意味では『誤審』とは言えないジャッジだったわけですが、結構な数の方が前者の意味でこのジャッジを語っているんじゃないかなと思うんですね。
別に僕はサッカーのルール教える仕事をしてるわけじゃないんですけど、それは間違いですよ、接触がなくてもファウル取られるケースはあるんですよ、という情報が広まった方が普通に考えていいだろうと思うんですわ。その情報を踏まえた上で、このケースでファウルを取るのは適切だったか、取らない方が良かったんじゃないか、って話をするべきだろうと。(もちろんその議論は大いにするべきだと思いますよ。ジャッジの中身についての濃密な議論は良いこと)
だってこのルールを把握できてる人とできてない人じゃ話が絶対に噛み合わないじゃないですか。こういうところで障害があると多くの人が望んでる『レベルの高いジャッジ』を促す議論にもつながらないし、結局のところ日本サッカーのレベルアップをほんのわずかでしょうが阻んでると思うんですよねー。
で、接触なくてもファウルは取れるってことを知ってる人が後者の意味で『誤審』って言葉を使ってるケースもあると思うんですけど、多分受け取る側としては前者の意味で受け取っちゃうんじゃないかなと。それによって『日本のレフェリーはサッカーのルール上間違ったジャッジ(誤審)が多い』という認識形成に寄与しちゃうこともあると感じるんですなー。
いやほんとね、もちろんほんの些細なことだと思うんですけど、正しい認識、正しい情報を得た上で議論していった方がいいだろーって思うんで、もしよければ言葉の受け取り方、使い方に関して参考にしていただけたら。
同じ映像から別の可能性を導くことも可能
以前のエントリーと同じく、『誤審は簡単に作れる』ってテーマのお話。こちらをごらんいただきたく。
金 正也の退場シーン イエローカード2枚目のシーン 目の前で松尾主審が見ているがガンバの選手に重なってファールの場面は見えていないのでは?映像では当たってないです #jleague pic.twitter.com/XoFQxfnCBu
— naoya (@naoya122687) 2015, 10月 7
上で出たのと同じアングルなんですがこちらの方がユニフォームを見やすい気がするので。さらにはこちらをご覧ください。
1枚目〜2枚目、腕が通過するタイミングでユニフォームの弛みが消える。 そして3枚目〜4枚目でユニ引っ張ってる可能性はゼロではないけど別アングルで見なきゃわかりまへん。映像ないですかねー pic.twitter.com/yKtumZcFeZ
— INUUNITED(いぬゆな) (@inuunited) 2015, 10月 7
僕この映像見たときに思ったのが、『足で触ってないなら手で触ってんじゃね?』ってことでした。それでコマ送りで見てみたんですが、ラファエルシルバ選手のユニフォームの端っこの動き方から考えて、金選手の腕か手がユニフォームに触れてはいると思うんです。ユニフォームを引っ張ってたとしたら当然ファウルですが、それは見た目では微妙なところ。可能性としてはゼロではないけど、引っ張ってる可能性としてはまあ大きく見積もって2割とかだと思います。
でもこの主張を僕が一番初めにツイートして、それが拡散されたら、きっとそれが『真実』になっちゃうと思うんですよ。同じ映像を見ても、くっついてる文章で印象はまるっきり変わる。SNSやネットの特性として当然ではあるんですが、広まってるから真実であるとか、広まってないから価値の無い情報とかそんな風に思いがちですけど、そんなことはないのである程度自分で見極めたり調べたりするといいんじゃないかなーって思うですー。
例えばこの試合の主審の松尾一さん、検索すると『松尾一 誤審』って関連検索でますけど、西村雄一さんも出ますし、家本政明さんも出ますし、多分Jリーグで審判やってる人、ある程度試合数重ねると全員出るようになるんじゃないかと思います。これ見て先入観で誤審誤審ってなっちゃうのも問題あると思うんですよね。誤審しない審判はいないけど、見てる人が疑問に感じる判定が全部誤審なわけないし。実際どの判定がどう誤審だったのかってこと、時間あるときに調べてみるといいかもですな。
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